私の忘れられない一本は

サイドノック式シャープペンが好きで入社したら廃番になった話【#忘れられない一本 03】 https://note-pentel-sharppen.jp/n/nebd859259950


上記の記事を読んだのですが、近年まれにみる面白さだった。サイドノック式シャープペンへの愛と思い出を語る文章です。取り上げているテーマがいいですよね。「#忘れられない一本 」ですか。文房具の思い出は青春の思い出と密接にリンクしています。上記の記事を読んだ方は、ご自身の忘れられない一本を思い浮かべたのではないでしょうか? その忘れられない一本にまつわる青春の思い出も想起しませんでしたか? 私もご多分に漏れず、忘れられない一本を思い出した一人です。


私にとっての忘れられない一本

今日は私の忘れられない一本を、語りたいと考えています。ただその一本を語る上で、バックグラウンドの説明から入らないと正確に理解して頂けないように思うのです。なのであさっての方向から話を始めたい。皆さん、昔の携帯電話にアンテナが付いていた事って知ってます?「最初に買ってもらった携帯電話はiPhoneです」みたいな世代の方は、もしかしたら知らないかもしれないのですが、昔の携帯電話にはアンテナがついてたんですよ。大体、手で引っ張ると伸ばせるような奴がついていた。




最近のスマートフォンで個性を出すためのカスタマイズって言うと、スマホケースとか、バンカーリング(ホールドしやすくするアレ)だと思うのですが、昔は携帯ストラップとアンテナでした。あのはアンテナは金具を突っ込んで回すと取り外せるようになっていてるので、簡単に取り替えられるのです。金属製の奴だったり、着信があると先っぽの方が光ったりする奴とか、サードパーティー製のアンテナがたくさん売っていました。


ひらめき

私はそういった奴は心の底からダセエと思っていたのですが、友達はかっこいいと思ったらしく、先っぽが光る奴を買ってた。そうすると必然的に元々ついていたアンテナが余るわけです。私は友人に頼んで、そのアンテナを貰うことにしました。私、アレなんですよ、学生の頃とか本当に落ち着きが無くて。じっとしている事が無理なので授業中とか、常に手で何かをもてあそんでいる必要がありました。それにはあのアンテナがちょうどいいと思ったのです。


実際に授業中ブンブン振ってみたのですが、独特のしなりのある素材で悪くはない。しかし決定的に何かが足りない。どうしたらいいんだと色々試しました。なんの気なしに、シャープペンの後ろについている消しゴムを外して、ブスっと差してみたのです。その瞬間「これだ!」と脳天に電撃が走りました。恐ろしいほどのフィット感。このアンテナは、携帯電話にではなくペンの後端こそが本来あるべき場所なのだ。その日の放課後に私は文房具屋さんに走りました。このアンテナに最もふさわしいペンを見つけなければならない。アンテナ本体を格納するために内部の機構がシンプルなキャップ式のボールペンがいいでしょう。また加工が必要になってくるので加工のしやすさも重要。それによって完成した私の忘れられない一本がこれです。


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完成したペンについて

ベースモデルは、PILOT社製 SUPER-GP(黒)。後端をカットして、そこにアンテナをねじ込んであります。アンテナをペン軸内に格納しているので、アンテナの伸縮が可能です。このペンを以後は、アンテナペンと呼称します。アンテナペンの白眉は、ボールペンとしても利用可能な点です。


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アンテナを格納するためのスペースが取られてしまっているため、ボールペンの芯を 2cm ぐらいにカット。それだけだとすっぽ抜けてしまうため、ペン軸の横に穴を開け、そこに爪楊枝を突っ込んでボールペンの芯が引っかかるようにしてあります。


アンテナペンの生きる道

でも実際には、ボールペンとしては全然使わなかったですね……。だってインクの量が 1cm ぐらいしかなかったので真面目に使っているとすぐに無くなりそうだし、爪楊枝の剛性に一抹の不安があったためです。なのでアンテナペンは、ボールペン以外の生きる道を探す必要がありました。


まず、話のネタとしては抜群でしたね。アンテナペンに対して「それ何?」と聞かれた場合、アンテナを伸ばし耳にあて「携帯電話だよ」と言えば、確実に笑いが取れました。だたよく考えるとそのネタ、現代では通用しないのでは? アンテナの伸びる携帯電話を知らない新人類に対して、ぶっ放しても「????」という反応が帰って来るだけでしょう。そう思うと少し悲しいですね。時間の流れとはなんと残酷なんだろう。


もう一つの生き方はペン回し専用機です。アンテナペンでペン回しをするとあり得ないレベルのダイナミックさなのです。アンテナを伸ばすと全長が通常の倍近くになりましたし、回しているとアンテナがしなって実に心地よいのです。


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私はペン回しが大好きで、様々なペンを回してまいりました。しかし、ついぞアンテナペンを超えるものには出会う事は出来ませんでした。久しぶりにアンテナペンをブンブン回しているのですが、その心地よさはあの頃のまま。私の忘れられない一本は、不滅の一本でした。