人に好かれたいならアルテを読みなさい

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16世紀初頭・フィレンツェ。芸術など文化活動が花開いたルネサンス発祥の地。 そんな活気あふれる華やかなる時代に、貴族家生まれのアルテが画家工房への弟子入りを志願する。 女性がひとりで生きて行くことに理解のなかった時代、様々な困難がアルテを待ち受ける。 Amazon商品詳細より

アルテ

「アルテ」良いです。漫画です。既刊11巻に目を通しましたが、とてもGood。アニメ化も発表されましたし、まさにブレイク前夜の雰囲気をビシバシ感じる作品です。


「アルテ」の舞台は、16世紀初頭のフィレンツェです。16世紀初頭つったらですよ、ミケランジェロとか、レオナルド・ダ・ヴィンチとかがその辺をウロウロしていた500年ぐらい前の話なのです。それだけ古い話ですから、当然男女での役割分担は現代と比べるまでもなくカッチリと別れていました。「画家は男の仕事、女が画家とかとんでもない!」という当時において、逆境の中女の画家として身を立てていくお話です。


読んでて思ったのですが、この作品ってジャンプっぽいんですよねー。いやまあ、連載誌は月刊コミックゼノンなのでジャンプでも何でもないのですが、でもジャンプっぽい。次々と強敵が現れ、バッタバッタと倒してゆく様が古き良きジャンプっぽい。「アルテ」はバトル漫画ではないので倒すと言っても相手に認めさせるといったことだったりしますし、強敵は人の場合もあるし社会の偏見であることもあります。そして倒した強敵は、主人公アルテの良き理解者になる。強敵が仲間になるとかジャンプでよくある、よくある。小さな違いこそあれ、基本的な物語の構造は、古き良きシャンプの王道バトル漫画と同じであると感じます。「王道」とは悪く言うとベタって事なんですが、良く言えば長く万人に愛させる鉄板展開ということです。そのせいか「アルテ」はなんか読んでいて安心感を感じるのです。


「アルテ」のチャームポイントはどこか

「アルテ」はどこがGoodなのか考察したい。まず絵は上手ですね。漫画界のトップ・オブ・トップなレベルまでには達していない印象ですが、かなり上手な部類かと。特に大きなコマに人物をバストアップで描く際が上手ですね。時々、ドキッとさせられるコマがあります。


あと時代考証も良い。あいにく16世紀のフィレンツェに詳しくないので、正直正しいかどうかは判別がつかないのですが、ちゃんと調べている感を醸し出しています。例えば「庶民の家にはパンを焼く石釜が無かったので、パン職人で焼いてもらっていた」とか「トマトは毒があると信じられていた」とかの16世紀フィレンツェ豆知識が度々挿入されます。ただ、これはちょっとやり過ぎなような気もしないでもない。だってトマトがストーリーに密接に関係してくるわけでもないので、作中の料理描写にトマトが含まれていないようにするだけで十分なような。でもまあ気持ちはすごく分かります! せっかく調べたのだから皆に知ってもらいたいと思うのは自然な事。だから不要だとは思うけど、まあいいかな。いいと思います。


アルテは本当にいい子です

「アルテ」の白眉は、なんといっても主人公アルテの魅力です。これこそが最も傑出した長所です。なんといいますか「もう! アルテ好き、大好き!」って感じです。アルテのあまりの魅力に作中のキャラクター達は片っ端からアルテの事が好きになってしまうのです。相手を魅了する怪しい電波でも出てるんじゃないかと疑ってしまう程。さらにアルテのチャームが及ぶ範囲は、作中にとどまりません。そう、読み手の我々にもズキュンとくる。実際私とかアルテ大好きですもん。なんならぎゅーっと抱きしめたい。アルテ本当にヤバいんですよね、素直で、それでいて芯の強い一面もある。きっとご両親の教育が良かったに違いありません。これからアルテの魅力が現れているシーンを、実際のコマを例示しつつ、ズババババっとご紹介したい。直接ストーリーとは関係ないように気をつけますが、気にされる方は見ないようにしてください。


アルテ良い所一覧

元気に挨拶ができる

挨拶はすべてのコミュニケーションの基本だと思うのです。気持ちの良い朝は、気持ちの良い「おはようございます」から始めましょう。

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(著:大久保圭、アルテ4巻 P190より)


素直に謝ることができる

自分が悪いと感じたら、頭を下げてきちんと謝る。これ大事。

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(著:大久保圭、アルテ2巻 P87より)


相手にストレートにリスペクトを伝える

日本人は、特に苦手ですよね、面と向かって目の前の相手にリスペクトを伝える事が。アルテは、作中の人間もびっくりするほどストレートに気持ちを伝えます。見ていて気持ちがいい。

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(著:大久保圭、アルテ1巻 P179より)


NOと言える

とても人当たりが良くても、周囲に対して唯々諾々といい顔しかしないような人間は、真に人を惹きつける事は出来ません。時には自分の意思でズバッと断る事も大切なのです。

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(著:大久保圭、アルテ7巻 P182より)


ぶっ倒れるまで努力する

アルテは作中で頑張り過ぎて10回ぐらいぶっ倒れます。見ていてハラハラするので、ぶっ倒れる前に休んで欲しいとはいえ、真摯に努力する姿を見るとついつい応援してしまうのが人情というもの。

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(著:大久保圭、アルテ3巻 P167より)


自分への悪口は受け流す事が出来る

アルテは、自分に向けられた罵倒、悪口をひらりと受け流してまったく相手にしません。1巻だと若干キレていたような気もしますが、後々はキレなくなる。成長が見られて◎。
↓ このシーンの後アルテは大笑いしてまったく気にしてません。

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(著:大久保圭、アルテ5巻 P71より)


しかし、他の人のために怒ることが出来る

自分への悪口は、とんと無頓着な一方で、他の人への悪口へは烈火のごとく怒ります。これはバカにされたおじさんのために怒っているシーンですね。アルテみたいな子が代わりに怒ってくれるとか、好きになるなという方が無理な相談です。

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(著:大久保圭、アルテ2巻 P48より)


笑顔が素敵

これが何気に一番重要じゃないかと思っている。笑顔でいることは、周囲を幸せな気持ちにさせますし、幸運だって引き寄せるに違いありません。アルテは、とにかく笑顔が素敵。笑顔の名手と言ってよいでしょう。

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(著:大久保圭、アルテ2巻 P109より)


ライトスタッフ

こうして並べてみると、なんでアルテが好かれるかがわかった気がします。彼女は人に好かれるためのライトスタッフ(正しい資質)を全て持っているのです。アルテの魅力の源泉は怪しい電波じゃなかったんや。なんかもう教科書に載せていいレベルに達していると言ってよいでしょう。アルテの立ち居振る舞いを模倣すれば、誰でも人から好かれる好人物になれるに違いありません。本屋さんは、自己啓発本のコーナーに「アルテ」を並べる事を本気で検討するべきです。その辺の自己啓発本より、よっぽど「アルテ」を読んだ方が役に立ちます。


こんな魅力的なアルテが右に左に元気に動き周り、問題に体当たりでぶつかって、跳ね返されて落ち込んで、でもまた立ち上がり、問題を解決していくような作品がつまらないはずがない。おすすめです。